ものすごい片頭痛
左目の奥から額まで、思い浮かぶのはドラクエの毒の沼。
近づいている台風には「元恋人たち」と名付けようか。
わたしの身体はめちゃくちゃメンヘラだ。
なんでこんなに痛いんだ、誰かに呪われてるのかな。そうか、わたしは知らないうちに誰かの親を殺してしまったんだろう、そう思うと納得だ、甘んじて受け入れなくてはならない。
「サキなりのアンガーマネージメントか?」。

炎天下の中、すっかり忘れていた支払いをしにコンビニへ行く。
その名も「ZOZOツケ払い」。
仕事場へ戻る途中、またYさんと遭遇。
「しわしわのピカチュウがいると思ったらサキちゃんだったわ」。
Yさんの例えはいつも面白いし納得感もあるし、しわしわのピカチュウはめちゃくちゃ可愛いので、とても嬉しい。

「今日の夜、あいてる? ドライブして、よく分からない中華屋とか行かない?」。

 


仕事後の更にしわしわのわたしをピックアップしてくれた。車内は程よく冷えている。
「南か、北か? どっちにする?」「少しでも涼しい方へ……北へ、北へ向かってくれますか」「かしこまりました」。
Yさんはアイスコーヒーとレモネード、サンドイッチとクッキーを用意してくれていた。
「サキちゃんがしわしわな上、ペコペコだったら困るからねぇ」。
しばらくドライブをして、言葉通り、よく分からないそのへんの中華屋へ入った。

しゅうまいがとても美味しかった。

久しぶりに友人2人とわたしで会い、たくさん喋った。
「サキは最終的に自分を信じている感じがするよ」と言われ、反応として合っているのかは分からないがとても照れた。
「不健全なのに自傷をしない感じがとてもあるね」
「あ、それはそう、わたしね、調子悪くなることが一番怖いし嫌なの。だからしない」
「なるほど!」
「小さい頃からアトピーだったし、体力もないし、自分が快適でいることにすごく執着があるんだよね、だから絶対死ねる自殺はあり得るけど、自傷はないと思う」
「超納得」
「お酒もさ、飲むと調子悪くなるのが嫌なんだよそれだけ」
「超納得」
「ただただ、快楽主義者なのかも」
「超納得」。

コンドームみたいなパッケージのワイン(ノンアルコ―ル)を飲む。とても美味しい。
わたしはずっと「酒も飲めないでよく生きてこれたな」と思っていたけれど、
それは間違いで「酒が飲めないから生きてこれたんだ」ということがまた実感を伴って分かった。


身体についてよく考える。
身体性がないもの、排除した考え方がどうしても受け付けないのは、自分の存在は身体ありきだという実感があって、前提としているからだろう。

それを上記の友達は感じ取ってくれたのだと思う。

そう考えれば「セックスに重きを置きすぎる」は当然の結果だな。

ある人に「わたしはこれからも恋愛もしたいしセックスもしたいよ」と言ったら「だったらもっと焦らなくちゃ!いくら可愛くて若く見えても、どんどん出会いも減っていくよ」とクソリプみたいな返事が来て心底驚き、すみやかにブロックした。

お弁当を持ってきていない日のランチは「自分じゃ作れないもの」を買うようにしている。
あまり胃の調子が良くないくせに生魚が食べたくて、スーパーのお寿司コーナーでじっとりしているとこをYさんに見られていた。
「トランペットを欲しがっている子どもがいるなーと思った(ら、寿司を食べたがっているサキちゃんでした)」と、ラインが来て、びっくりしてキョロキョロしていたら「ぼっちゃん、買ってあげようか?」と声がした。
「スーパーのじゃなくて、あそこの寿司屋の持ち帰りにしたら?というか今日の夜一緒に寿司食いに行かない?」。

仕事終わりに待ち合わせ。
お盆だからか、お寿司屋さんは混んでいて、結局持ち帰りにした。
Yさんのお家に行くのは久しぶりだったが、物は多いのにごちゃごちゃしていなくて、とても理想的。

「Yさん、学生のときからパソコンとかノートとかにステッカーをおしゃれに貼れるタイプだったでしょう」「ははは、なにそれ?」。

ささっと酢の物とだし巻き卵を作ってくれて、最高の寿司パーティーになった。
わたしにはノンアルコールビールを出してくれたので、「常備してるの? Yさんアルコール控えてるの?」と聞いたら「サキちゃん用だよ」とニコッと笑った。


髪を切った。なんだか変化が欲しくて短くしてしまい、少しだけ後悔している。
わたしは髪が伸びることを知っているので大きな地獄ではない。
しかし伸びることにある程度の時間がかかることも知っているので、輪郭のはっきりした地獄である。
地獄は形を越え、付きまとうものだ。たとえ天国にいたとしても。


***


●●●と交流のある(というか一時期関係があったんじゃないかと思う)某モデルが、SNSに同棲をし始めた恋人との日々をアップしている。
彼女が料理している台所が、●●●の家ではないことがはっきり分かってホッとした。
わたしが●●●のことを吹っ切る日が来るとしたら、次に大きな恋愛をしたときではなく、それを失ったときだろう。


***


大学時代から仲の良い女の子たちが全員結婚した。

家から一番近いヴィレッジヴァンガードが閉店セールをしている。閉店、とても悲しい。
半額になっていたヒグチユウコのマスキングテープと、白熊モチーフのコースター、仕事で使えそうなサコッシュ、たなかみさきとマムちゃんの手ぬぐいを買った。

スーパーで割引になっていた、いわし明太を買う。
"他人の卵を腹に詰められている食べ物"だと思うと感慨深い。「こんなはずじゃなかった」と言っている声が聞こえる。

***

Oさんから「何かあった?いま電車だから降りたらかけ直すね」とメールが来た。
わたしは電話がとても苦手で、滅多にかけないし出ない。
Oさんのことがとても好きなので、念で着信を残してしまったのかと焦ったが「サキちゃん違いだった!」。
「お店のサキちゃんだった。思い切り営業の電話だった!」とのことで「あぁ、可愛い方のサキちゃんだったんですね」と返信した。
「もっと可愛い方のサキちゃんは元気にしてる?」と重ねてきたOさんはさすがだと思う。

今年2回目の逢瀬。
Oさんの友達のお店へ行き「お腹すいてる?」と聞いてもらってメニューにはないカレーなんて出してもらっちゃって「表の看板ひっくり返してきてくれる?」なんて言われて、常連ぽさに照れ笑いしてしまう。

「サキちゃんをあのバーに連れて行こうと思うんだよね、やってるかなぁ」「あ、あそこはまだやってますね。僕は仕込みがあるのでお二人で行ってください」。


風にあたりながら10分ほど歩いたところにあるバーはものすごく素敵で、Oさんが「薄ーく、あ、今考えた倍の薄さにしてください」と注文してくれた桃のカクテルがものすごく美味しかった。Oさんと飲むお酒が一番おいしい。
「さっき、僕の友達、普通に一緒に来ようとしてたよね!」「はははは。いいじゃないですか別に」「やだよ!」。

「最近ね、自分がつまらないと思うことにもしかしたら価値があるのかもしれない、つまらないなぁと思う人と付き合うことで見えてくるものがある気がしてるんですよ」
「それは…サキちゃんの面白さが浮き彫りになって絶望するだけでは」。

「和菓子を丁寧に丁寧に撮る仕事をしたよ」。

わたしたちは手をつなぐことも、キスをすることもなかった。
帰り道、わたしの家に寄って一杯飲みたい、みたいなことを言われたような気がしたが「わたしが次の日休みの日にしましょうね」と返した。
セックスをしないでいたい、と思える関係は初めてだと思う。
Oさんのことがとても好き。

職場用に、USBで充電、置くことも持ち運びもできる小型扇風機を買った。
「たまにある外での作業のときにも便利だよね~」「グッズ並ぶときにもとても良いです」。同僚はジャニオタだ。
以前は「◯◯(推しの名前)と付き合ったらこっそり教えてね」「◯◯が教えて良いって言ったらね」という会話をした。さすが。

***

仕事が忙しくなってきた。
“自分の責任”とはっきり分かるような仕事だけを進めて、他のことをきれいさっぱり無視できる上司のおかげでストレスがすごい。