モテ男Hの新居に遊びに行った。
わたしの休みに合わせて、半休を取ってくれた。
駅で待ち合わせをし、カフェでコーヒーを飲む。ドライフルーツのケーキを半分こ。
スーパーに行き、いろいろ買い込む。
新潟の美味しい枝豆を茹で、白身魚カルパッチョ、ボロネーゼを作ってくれるという。
「これだけじゃ足りないかな。ジャンルばらけるけど、揚げワンタンも作ろう。チリソースで食べよう」「うん、包む!」。

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ものすごくおしゃれないい部屋に住んでいて、爆笑してしまった。
「おしゃれすぎてセックスが捗らなさそう…」「そうなんだよ!」
「でもこの大きな鏡は、いいね」「ふふふふふ、そうでしょう」。鏡の前に二人で立ち、初めて同じフレームにおさまった。貴重な1枚。

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際限なく、話し続けた。
ときどき非常階段の踊り場へ出て煙草を吸った。すぐそばに小学校のプールが見えた。
わたしたちが恋人にならない理由は明確で、それが解消されることは、この先ない。
セックスくらいしてもいいじゃないと思うけれど、それもない。
でも、きっと、わたしがさみしくてさみしくてたまらなくなったら、強く抱きしめてくれるだろうと確信している。

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