わたしの愛をなめないでいただきたい。

2回会っただけでも、分かることはたくさんある。 100回会っても、分からないことがたくさんあるのと同じように。
「こんなんだからお前は付き合って4か月で「好きな人ができた」とか言われるんだよ」と思ってしまう。自分がこうして欲しいと思うことが、他人にしてみればそうでもないということは多々あるし、さらに「察してくれよ」は傲慢がすぎる。
それこそ、2回しか会っていないのだから。

「連絡が取れない男たちは、パラレルワールドに住んでいるんじゃないかな」「確かに」「世界がひとつになる時間を待とうか」「それいつ!何時何分地球が何回まわったとき?!」「そもそもここは地球ではない!」「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」。
「恋愛くらいで、こんなに病む人はいますか」「もちろん。恋愛は、人間関係の最たるものですから」「恥ずかしいことではありませんか」「まったく恥ずかしいことではありません」。

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Tが離婚したての頃、よくデートをした。
ゲームセンターでグリコのアーモンドキャラメルをコインで落とそうとしながら「ぼくと犬端サキは、結婚に向いていると思う」と言われて、
「そうだねー。愛情深いからな」なんて能天気に返したが、今思えばあれはちょっとしたプロポーズだったのではないか。
わたしは「自分が欲情される対象であるはずがない」「自分が結婚の対象であるはずがない」と思い込んでいて、あからさまに口説かれないと気付けないのだった。

「●月〇日に、一緒にご飯を食べませんか」「明日、仕事が終わる□時くらいから、■■で会えませんか」「好きです。恋人になってほしい」英訳が簡単そうな日本語で口説いてほしい。

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