Tさんの仕事は朝5時頃に終わり、12時まで一緒に眠った。
起きた途端に「今日は欲望の日にする!睡眠欲、クリア!」と言い放った。
「次、食欲!美味しいもの食べる!」「うん」「あそこのパンが食べたい」「○○○?」「そうそう」「ちょうどランチやってるね。行こう行こう~」「うん」。
Tさんはシャワーを浴び、わたしは洗面所で歯を磨いて顔を洗い、コンタクトを入れる。
日焼け止め効果もあるおしろい乳液は、こういう時に便利だな。
「食欲って言ったんだけどさ」「うん?」「エロいことがしたくなりました…」「うん」。
いつもは割としゃべるTさんが、珍しく無口だった。それがとても色っぽくて、可愛い。
それを本人に伝えると、「ふぇっ…余裕がなかっただけだけど…ありがと」と素直な反応。Tさんは大人だなぁと思う。
セックスにおける「可愛い」を受容できるのは大人だ。Mにはなれるのに、単純な「可愛い」を受け入れられない男の人って、意外に多いと思う。
*
「ランチの時間、終わっちゃったね」
「提案です。高くてうまい蕎麦屋に行き、てんぷら蕎麦を食べたいです」
「はい。いいと思います。わたしは鴨せいろにします」
「いいと思います。そしてお肉屋さんとスーパーに行きます」
「はい」
「カルディに行き、トマト缶を買います。」
「お?!はい」
「今日の夜はカレーにしようと思いますがいかがでしょうか!」
「賛成」。