Tさんの仕事は朝5時頃に終わり、12時まで一緒に眠った。

起きた途端に「今日は欲望の日にする!睡眠欲、クリア!」と言い放った。

「次、食欲!美味しいもの食べる!」「うん」「あそこのパンが食べたい」「○○○?」「そうそう」「ちょうどランチやってるね。行こう行こう~」「うん」。

Tさんはシャワーを浴び、わたしは洗面所で歯を磨いて顔を洗い、コンタクトを入れる。

日焼け止め効果もあるおしろい乳液は、こういう時に便利だな。


「食欲って言ったんだけどさ」「うん?」「エロいことがしたくなりました…」「うん」。

いつもは割としゃべるTさんが、珍しく無口だった。それがとても色っぽくて、可愛い。

それを本人に伝えると、「ふぇっ…余裕がなかっただけだけど…ありがと」と素直な反応。Tさんは大人だなぁと思う。

セックスにおける「可愛い」を受容できるのは大人だ。Mにはなれるのに、単純な「可愛い」を受け入れられない男の人って、意外に多いと思う。



「ランチの時間、終わっちゃったね」

「提案です。高くてうまい蕎麦屋に行き、てんぷら蕎麦を食べたいです」

「はい。いいと思います。わたしは鴨せいろにします」

「いいと思います。そしてお肉屋さんとスーパーに行きます」

「はい」

「カルディに行き、トマト缶を買います。」

「お?!はい」

「今日の夜はカレーにしようと思いますがいかがでしょうか!」

「賛成」。