通勤途中の信号待ちで、板ガムを取り出して食べている人がいた。

板ガム…!…久しぶり!じっと見てしまっていたらしく「板ガム、珍しいですよね。食べます?」と言ってくれたので、ありがたくちょうだいした。

信号が青になり、2人して板ガムをむしゃむしゃしながら横断歩道を渡る。

「お姉さん、いつもこの時間ですよね」

「あ、はい」

「ときどき見かけます」

「そうでしたか。毎日ひどい顔してるでしょう」

「いやいや、ショートが似合ってるなぁって」

「あ、嬉しい。ありがとうございます。じゃ、また」

「じゃ、いってらっしゃい」

「いってらっしゃい」。

板ガムの人は地下鉄の駅に向かい、わたしはそのまま歩いて職場に行った。