自分のことは「どうしよもないほどのビッチではなく、ネタになるようなフェチもなく、暗くじめじめしたところに生息する普通にセックスが好きな女」であると認識している。
ただ、やばいところがあるとすれば、こういうことを書いたり話したり(もちろん人は選ぶよ)している、ということだ。
わたしは日々、めちゃくちゃ普通のセックスをしているのだ(普通ってなに、というのは今は言及しない)。

「わたしさ、Tさんにはこんな風に話したりしてるでしょう。身体の人過ぎるとも言われる。でも、実はいろいろと普通じゃない?」
「健全か不健全か分からないところはあるよね」
「それは普通ということではないのか」
「どうだろう」
「全然フェチとかないし」
「うん」
「誰とでもしちゃうわけでもない」
「うん」
「毎分毎秒したいって騒いでるわけでもない」
「うん。でも、セックスがすべてだとは思ってる節はあるよね」
「うん……」
「サキはね、めちゃくちゃ普通にめちゃくちゃエロいんだと思うよ。レベル的には「普通じゃない」っていうことかと」
「……なるほど」
「俺は、普通が一番色っぽいし、エロいと思う」
「そ!れ!だ!」
「ははは、そう? よかった」。

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鬼畜小説家も鬼畜写真家も鬼畜プロデューサーも鬼畜サラリーマンも鬼畜ライブハウスオーナーも鬼畜ミュージシャンも鬼畜デザイナーも、
「普通じゃない」作品を世に送り出していたが、セックスは本当に普通でめちゃくちゃエロくて、わたしを大変興奮させた。
みんな共通して「今まで何人の男と寝たの」なんて泣きそうな顔で聞いてきたりして、
「まったくもう、鬼畜のくせに普通の男みたいなこと言っちゃって」なんて、愛おしく思ったりした。
「意外と普通」なことを、過去の恋人にがっかりされたこともあったよ、と苦笑しながら話してくれたのは鬼畜写真家で、わたしはその人と、普通のセックスを普通じゃない興奮で何度も何度も共にした。

あなたのことが大好きだったよ。