ちょっと痩せたかと思っていたがそんなことはなかった。
あと5キロでいいいのだけど。いや、本当は10キロがいいのだけど。
Tさんにこの話をすると「サキがそういう自分でいる方が気持ちがよさそう、って思っているなら応援するけど」と、完璧な返事をする。


わたしはTさんの元恋人を知っている。
ほっそーい、きっれーいな、髪のなっがーい、元モデルのカフェオーナー。
字面だけだといけ好かないのだけど、とても明るくさっぱりした人で、なんで別れちゃったんだろうと思う。
わたしとはあまりにもタイプが違いすぎるので、嫉妬にすらならず、ひたすら不思議。

***

「Tさんはわたしのどこが好きなの」こういうことを臆面もなく聞く女ことわたし。
「セックスかな」臆面もなく答える男。
「一番うれしい答えだ」
「うん」
「本当?」
「うん。あと顔も身体も好き」
「うれしい」
「感情の種類と量が多いところも好きだなぁ」
「うれしい」
「サキは?俺のどこが好き?」
「セックスかなぁ」
「うれしい」
「顔と身体も好き」
「へっへっへ…」わたしを抱き寄せてわしゃわしゃしてくれた。
「ひたすら優しいところも好き」
「へっへっへ…」わしゃわしゃ。
「Tさんの作るものも大好き」
「あー、うれしい」
「大好き。全部大好き!」
「……サキ、なんか欲しいものでもあるの?!」
「これはコントではない」。