わたしの太ももに触れたことのある人が死んだ、と、ヤフーニュースで知った。
3年半くらい前だろうか、元恋人とお寿司を食べているところに電話が来た。

「お寿司ゆっくり食べたあとでいいからおいでよ」。
六本木のバーへ行った。
偶然にもわたしと同じ名前の女の子と一緒にいたその人は、わたしのことも「サキちゃん」「サキちゃん」と呼んでくれた。
元恋人には見えない角度で太ももに手を置き「サキちゃんは〇〇さん(元恋人の名前)のどこが好きなの」と聞いた。
触れられても全然嫌じゃなかった。

「すごく普通なところです」「そうか、それはすごくいいことだね」とニコニコと笑って、
元恋人に「〇〇さん、サキちゃんのこと逃さない方がいいよ」と言ってくれたのだ。


とてもとても嬉しかったのに、死んでしまった。
元恋人は、何を思っているだろう。