Oさんと会った。珍しくわたしの仕事が先に終わったのでホテルのラウンジ(超好き)で待つことにした。
Oさんは「まーたサキちゃんはホテルにいる」と誤解を招きそうなことを言いながらやってきた。
「中華かエスニックが食べたい、雑な感じの」というわたしのリクエストで、どちらもメニューにあり、お水はセルフサービス、背もたれがない椅子のお店を選んでくれた。Oさんのチョイスはいつも素晴らしい。気分に寄り添ってくれている感じがすごい。
干し豆腐の和え物、エビのすり身揚げチリソースが美味しかった。

渋谷ミヤシタパーク、原宿キャットストリートから表参道、青山を散歩しまくる。
ミヤシタパークは噂にたがわぬ絶望の城だったが、ラスボス感は薄かった。頑張れば倒せそう、と思った。
どこもかしこも人が少なく、お店もほとんど22時までで、夜お茶を生きるよすがにしているわたしとしては、さみしくて仕方がなかった。
それでも、散歩にちょうど良すぎる気温、突然始まる親と思春期の子どものコント、何も考えずに思ったことをべらべらと口にしても成立する会話、心地よい沈黙、裏路地のコインパーキングでタバコを吸うOさんの格好良さ、「あら可愛い」ときられるシャッター、やっとたどり着いたルノアールで飲んだ薄くて甘いコーヒー、完璧な散歩だった。
「今日は何から何まで欲望を叶えてくれて、どうもありがとう」
「こちらこそ。撮らせてもらった写真、いま見返したけどめちゃくちゃいいわ、どこかに載せてもいい?」
「うち、肖像権フリーの女やさかい」
「大阪人なんだね」。

帰宅してすぐにお風呂に入った。
Oさんが一緒にいないことが不思議でもあったが、これでいいのだ、とも思えた。