数学のできる犬ことMくんとは、長い付き合いになるという確信があった。
しかしそれはわたしだけものだったようで、しばらく連絡がなく落ち込んでいた。
「毎日サキさんのことを考えていました」とラインが来たのは昨日、最後に会って一ヶ月ほど経っている。
「仕事が手につかなくなるくらいハマるのが目に見えていたので怖かった」「でも結局、連絡を取らなくても手につかなかった」。
「わたしも毎日考えていたよ」と返信。
「サキさんを思って1日に7回しちゃった日があった」というのには大笑いしてしまったな(わたしとMくんはしていない)。



過日、Mくんはわたしにある秘密を告白した。その日から馬鹿みたいによく眠れるようになったんです、と言っていたので、眠るように死んだということにしていたのだ。
死人からのラインでも、嬉しいことがある。親しい人が死んだら、化けて出て欲しいように。



セックスが全てだと思っているのに、セックスばかりを求められると傷つくのはなんでだろう。
Mくんのわたしへの興味は完全にそれで、それのどこがいけないのだろうか。