久しぶりに東京タワーに行った。赤くて可愛かった。

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妄想がはかどる日々。妄想しかはかどらない日々。

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Dさんが車で迎えに来てくれて、ドライブに連れて行ってくれた。
シートベルトがうまくはまらず難儀していると、身を乗り出してはめてくれた。顔と顔が近くなる。Dさんは一瞬、目を合わせたまま更に近づいてきたが、すぐに姿勢を元に戻した。
「……発情しないでくださる?」「ははは、バレたか」。

「ベタなドライブデートがしたい」というわたしの希望に添って、横浜方面へ向かった。
小さく薄く音楽を流しながら、果てしなくくだらない話をする。
Dさんは、もうずいぶん長いこと気まずくならない程度に口説いてくれていて、ときどきデートもしているけれど、絶対に手は出してこない。
もしかしたら口説いているつもりはなく、半分娘みたいに思っているのかもしれないなぁと思う。
Dさんはわたしより15才上だ。
「Dさんはずっと変わらず優しくしてくれるから甘えちゃう」「そりゃ好きな子には優しくするよ。甘やかすよ〜」「娘みたいな感じですか?」「違うね」「違うのか…」「僕は割と紳士だけど、全然安全牌ではないから気を付けてね!」。

ちょうど信号が赤になり、わたしはDさんの腕を掴んだ。
振り向いたDさんに「じゃぁ、恋人にしてください」と言おうとしたが、言葉に詰まる。
察したDさんがわたしの体を抱き寄せ、キスをし、こう言った。
「恋人になってくれる?」

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