Kさんとの生活は、どこまでも続きそうに思える。お金の不安は付きまとうけれど、関係性の不安が付きまとうより何百倍もいいような気がする。気がするだけかもしれないけれど。

冷蔵庫と電子レンジ、ベッドとタワー式の本棚以外、ガス台、Kさんの机、食卓兼作業台、棚などは新たに買った。

段ボールはまだまだ出っぱなしだし、押し入れの中もひどい有り様だが、職場まで徒歩圏内なのは変わらずで、日当たりと風通しが良いことに救われている。


***


人間ドックに行ったら、同姓同名の人がいたらしく、各所各所で生年月日を言わされ続けた。

腎臓がきれいだと褒められたのはとても意外だった。わたしの体に綺麗なところなんてないと思っていたから。

ワクチン接種、初めてパーマをかけたときのことを思い出した。

オーダーもうまく出来なかったし、むかーしの田舎の美容院のパーマは、とにかく苦しくて、痛くて、気持ち悪くて、嫌な汗をかいて、仕上がりにもガッカリした。「みんな可愛くなるためにこんな思いをしてるのか」と愕然としたのをよく覚えている。

「(一旦は)調子悪くなると分かっている」「しかも仕上がりはどうなるか分からない」けど行く、みたいな流れが、自分の気持ちの落としどころが、なんだか似ている。

Kさんは週に3日くらいはわたしの家で過ごすようになった。
すぐに消化していたラジオクラウドがたまるようになったのと、いびきがうるさいときがあるくらいで、特別困ることなく生活している。
「久しぶりに西友に行ったらたくさんおやつの種類があって楽しかったよ」「ふたりでいろんなおやつを食べよう」。なんて平和で可愛い会話だ。

***

久しぶりに執筆依頼があったが企画から降りることになった。
筋を通そうとして失ったものが多い人生。残念な気持ちはあれど、まったくのノーダメージで後悔がないところが、大成していない理由のひとつだと思う。

***

前髪に縮毛矯正をかけ、バスマットを買い、iPhoneを新しくした。
しみじみと宝くじが当たればいいのになと思っている。