帰りのタクシー代としてもらった3,000円で、ちょっといい、色つきのリップクリームを買った。

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●●●とわたしの距離を体感して離れるために、家まで歩いて帰らなければならないと思った。
「これで最後にする?」と口走ったのはわたしだ。
うやむやになって、次もあるような感じで別れたはずだが、この先を求めるようなわたしのダメ押しラインを見て、彼は速やかに、わたしをブロックした。
分かりやすすぎて、笑ってしまった。
お家を知っていても、もうなにも、届かないのだ。

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帰りのタクシー代としてもらった3,000円で、ちょっといい、色つきのリップクリームを買った。
散々彼とキスをしたくちびるに、色が付いた。