目覚めた瞬間に泣いたことが、一度だけあった。
元恋人と別れる別れないのときで、理由が明確だった分、権利を得たとばかりに泣いた。
今日の目覚めもそれに近いものがあったが、泣く権利はないように思えた。
あなたが優しくしてくれればそれで良かった。でもわたしではダメだった。

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玄関を掃除をした。
この部屋も6年目。
何にもなれないまま、誰にも愛されないまま、君が遊びに来ないまま。