B県にある、ド田舎の実家に帰ると決めた、仕事をやめ、事務所もやめ、同棲中の彼氏とも別れ、眠る以外の楽しみがない田舎へ帰ることにした、と彼女は言った。
「東京は夢の場所だから、田舎に帰ったら距離を置きたいと考えてしまうと思う」と言われて、振られたような気持ちになった。

わたしは、父親の仕事の都合で4つの小学校に通った。最初の小学校には、1年生の一学期しかいなかった。
中学生のときは京都にいて、高校・大学は東京。受験が大変だった。
出身を聞かれると困っていたが、いまは「青春は京都で過ごしました」とか「ブラジャー付けて生理がきたのが京都なので京都出身ってことで!」と答えている。

現在、実家は東京23区外にあり、わたしは世田谷区に住んでいる。
駅からは近いが、古い古いマンション。一人暮らしを始めて、5年になる。
ずっと転校生だったわたしは、いつまでここにいるのだろう。
“東京に住んでいる”ということについて、ここ2週間くらい、考えている。