出版社で働いていたころ、どうしても復刊したい本があった。

著者に無理を言って加筆を頼み、会社にもOKをもらった。Mくんが帯文を寄せてくれたり、Kさんがテレビで紹介してくれたこともあり、なかなかにヒットした。

加筆文のタイトルは「続・赤色のワンピース」という。奥さまとの現在を綴ったものだ。

その奥さまが、先日亡くなったと、ツイッターで知った。

結局一度もお会いできなかったし、奥さまはわたしのことを知らないだろう。でもなぜか、ずっと近くに感じていた。自分でも不思議だ。

息を引き取る前、一緒に歌ったという。その歌は、この世で一番キレイなものだったろう。