『ボクらの時代』で、いとうあさこが「冷蔵庫の中身をきっちり把握していることなんて初めてです」と言っていて、激しく同意する。

ひき肉が安かったのでハンバーグ。
今更ながら無限ピーマン
しょっぱいおやつ代わりにちょうどいいこんにゃくをただ焼いて醤油をかけたもの。
ゆでたまごを出汁醤油に、きゅうりとなすを辛子に漬ける。
長芋を擦る。
水菜は洗って切って草として食べる。
キャロットラペも作ろうと思っていたが力尽きた。
冷凍庫もパンパンだ。こんなに誰が食べるんだ。

友達から小夏を送ると連絡が来た。楽しみ。

***

宮藤官九郎さんが、わたしが担当した本をラジオで紹介してくれた。
(宮藤さんはこれまで何度も紹介してくれている、それでわたしのクビがつながっていた)
この本を復活させたくて、出版社に入ったようなものだった。
宮藤さんの朗読も素晴らしかったな。誰かの声で聞くことが初めてで、気付いたら涙が出ていた。
何年も何年もむかしのことだけれど、こんな気持ちになることは一生ないだろう。
こういう仕事ができたこと、幸せだと思う。

***

「誕生日、何か欲しいものある?食べたいものとかある?」
「わたしの名前をちゃんと呼んで身体を触って」
「林檎だ」
「うん」
「それは、誕生日じゃなくてもする」
「うん」
「なにかある? 外食は落ち着かないかな」
「美味しいいくら丼が食べたい」
「お。お取り寄せしよう」
「あと◯◯◯のケーキが食べたい」
「いいね。分かった」
「あとね」
「うん」
「ずっとずっとわたしに触っててほしい」
「うん」。
Tさんはそう言って、わたしの頭をがぶりと噛んだ。
出来ることなら全部きれいに食べて欲しいとお願いしたが「それは僕が淋しいから」と言っていた。

 

午前中に起きてしまって絶望する。
朝ご飯を済ませてコーヒーを淹れ、洗濯をして掃除機をかける。
やるべきことはきっとたくさんある。
二度寝しようと思うが眠れなかった。

自分という個体のゲシュタルト崩壊を起こして静かに気が狂いそうになる。

頭だけだったら既に死んでいるだろうから、身体があって良かったのだろう。
勝手に立ち直ろうとする身体に対しては残酷だと思うし裏切られた気持ちにもなるけれど、
大した仕組みだなとしみじみしたりもする。

ただ、頭も身体にも自分がいないときの対処法を誰か教えてくれませんか。


上司とメールのやり取り。
(こういう状況なのだから、特に)無理めなことでも提案して交渉して確認して、
なるべくいい方向へ持っていこうと動くのは「働く上で、働いてもらう上で当たり前のこと」なのに
「犬端さんの優しい気持ち」という言葉で集約して終わらせようとしてきて、ブチ切れてしまった。
みんな生活が懸かっているんだよ。

想像する、は優しさではなく当たり前のことだ。
そしてそれはお前の仕事だ。

持っている人は、持っていない人のことをこんなにも想像できないのか、できないんだよなぁ。
「てめぇいい加減にしろよ」と打ち込んで、社会人なのできちんと消した。

 

Tさんと朝マックを食べた。
無言になったなと思ったら涙ぐんでいたので、わたしも遠慮せずに泣いた。
Tさんが泣いているのを見たのは2回目だった。
セックス中も泣いてばかりで、身体からどんどん水分が抜けていく。
二人であっという間に2リットルの水を空っぽにした。

おやつに白玉を作った。缶のあずきで白玉あずき。
肌寒かったので温かい緑茶をいれた。

夜は土鍋でご飯を炊いた。
あじなめろうと、お味噌汁と、おひたし。

相も変わらず飽きもせず、このまま世界が終わればいいと思っている。

アフターコロナ、ウィズコロナ、ステイホーム、ソーシャルディスタンス、自粛生活。
意地でも口にしたくないという気持ちがある。
食べやすいように、口当たり良く薄ら甘く加工されたお菓子を食べて美味しいと感じるのは、あなたと一緒のときだけだから。

***

昼夜逆転が何周かして、午前中に掃除と洗濯、サラダと八朔の食事、そのあとのコーヒーまで済ませてしまった。
「わたしはここにいないな」と感じる時間は久しぶりだった。
自分探しなんて必要ないけれど「いない時間」は時々やってくる。
衝動的に髪を赤っぽく染めた。そうしないと自殺しそうだった。

死ぬまで不摂生したい、だから健康でいたい。
いつだったか、「死ぬまでセックス」という週刊誌のコピーが嘲笑されていたけれど、
みんな死ぬまでセックスしたいわけじゃないなんて意外だった。

***

数日前の失恋みたいなものを思い出して、友達にラインする。
「わたし、なんとなくフラれたみたいなんだよ」
「どうせ自分が安心できるだけの薄幸ブスにいったんだろ」「いまのこの状況であんたを選ばない男はマジで心底見る目がない」

泣いた。

***

暑かった。
昨日に続き、少し歩いて広めの公園へ行き、噴水を見ながらローソンのアイスアールグレイティーをキメた。
今日は日光浴おじさんたちが多くて、「ちゃんと半裸?全裸じゃないよね?」と不安になった。f:id:inuga:20200515201031j:image

 

暑かった。
少し歩いて広めの公園へ行き、噴水を見ながらローソンのホットドッグとアイスアールグレイティーをキメた。
汗だくだ。
はしゃぐ子どもの声、半裸で新聞を読むおじさん、いちゃつくカップル、さまざまな濃度の緑色をした木々、何を考えているかまったく分からない鳩。
リアル天国はきっとこんな感じなんじゃないかな~…あれ?わたしもう死んでる?と思ったら一気に身体が冷えた。

天国から距離を置くようにザクザク歩いて、再び汗だくになる。
家の近くの韓国料理屋さんがテイクアウトを始めていたので、キンパを買った。なんか辛いやつもつけてくれた。
鏡を見ると、久しぶりに頬が紅潮していた。セックスをしたあとみたいだなぁと思う。