湿気がすごい。少し腰をひねれば身体から水滴が染み出そうだ。
その水滴を小瓶に詰めて【東京23区/女/40歳/2020.7.18】とラベルを貼り、ひとつ300円で売る商売をしようかな。
場所は河原、つげ義春の漫画みたいに。そんなことを考えながら眠った。

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久しぶりの晴天。仕事。
お昼を買いに外へ出ると、全員の頭の上に「洗濯しなくちゃ…」という吹き出しが見えた。
仕事場階下にMさんが来ていることを知り、覗きに行く。推しに会えた気持ち。

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明日は美容院へ行く予定。
ここ何ヶ月かは仕事に行くかスーパーに行くか美容院に行くか病院に行くか、だ。
Tさんにラインする。
「明日美容院に行くよ」
「お、もうそんな経ったか」
「うん、1ヶ月弱だね。ちょっと長めキープしようと思う」
「ほうほう」
「長めの方がセックスが似合うでしょう」
「何度も言うけど、僕それ分かんない。いや、言っている意味はよく分かるんだけど実感は伴ってない」
「Tさんの歴代の恋人はみんなショートカット?」
「ん~、そんなことないよ」
「なにか共通点ある?」
「それがあんまりないんだよねぇ」
「……つまらん!!!」
「サキは?」
「もれなく天然パーマ」
「マジか」
「マジだ」。

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