こんなに夜が悪く言われた一年があっただろうか。
わたしは夜が好きなので、世界に夜が戻ることを、なんならちょっと長くなって戻ってくることを期待している。
生活が続くように、夜は続く。

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この年末年始、一度だけ気が狂いそうになっただけで済んだ。
安定しない世界観の中、孤独が可視化され、自己責任ばかりを求められる。
気が狂わないほうがおかしいとも思うが、こんな状況でも「会いたい」と「会いたい」が合致している人たちはたくさんいる。
わたしはくっきりと一人だな、と思う。

毎年、実家に帰るついでに吉祥寺へ寄り、パルコ2階の近江屋から「年末」を眺めるのを恒例にしていた。
あの細長い紙袋はワインかな、あれは東京ばななじゃないか!すごく急いでいるけれど新幹線やばいのかな、ぼんやり思うのが好きだった。
友達が合流して、付き合ってくれた年もあった。
今年は実家に帰らないし、近江屋ももうない。
近所のシャノアール(地下)でハムとチーズのプレスサンドを食べた。目の前の席には、わたしと同い年くらいのお父さんとその娘(3歳くらいかな)が座っていて、ヨーグルトドリンクを飲んでいた。
2020年、年末。

年始、さつまいもをレモンティーで煮て荒くつぶしたものと、あんこを白玉にのせて、ほうじ茶と一緒に食べた。
2021年、お正月。