仕事でミスが発覚し、久しぶりに頭をフル回転。
どうにか一日で事態を収束させたが、頭の毛根が焼き焦げる匂いがした。
わたしがしている仕事は「臨機応変」が求められる、というか「臨機応変」しか求められない。
基本性質としては変化を恐れるタイプなのに、この仕事をしていることを不思議に思う。これには父の影響を感じざるを得ない。
各方面にお詫びの電話やメールをし、同僚たちに「本日分の社会性は終了しました」と告げ、事務所の端っこで甘いものを食べた。

***

Kさんとのやりとりは続いている。
大喜利じゃなく、普通のやり取りもするようになってきた。
「1回しか会っていないのに、なんでこんなに懐いてくれるかねぇ」
「1回しか会っていないから、もっと会いたいだけですよ。なんだかんだで、Kさん相手してくれるし」
「好きなんだろうなぁ」
「お、わたしのこと好きですか」
「割と」
「うん、で良くないですか? スクショの邪魔しないでもらっていいですか?」
「スクショにはなんの効力もないです」。

「今はまじめな人ほど先のことを考えて悩んじゃうだろうね」
「わたしはKさんに会える日だけを考えているよ、かわいいでしょ」
「あなたのその熱が怖いんよ、熱しやすく冷めやすいんじゃないかって」。
お、本音が出た、と思った。思ったが、ここで一から説明するのも野暮な気がした。
「これが平熱です」
「……病気やん!」。

順序良い恋愛というものが存在するならば、わたしはそれをしたことがない。